「JDLA E資格」合格体験記

ハレソフトの山田です。 この度、一般社団法人日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)によって運営されている「JDLA Deep Learning for ENGINEER(以下、E資格)」に合格しましたので、 体験記を公開いたします。

「E資格」とは

「E資格」は、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定するエンジニア向けの資格試験です。

試験範囲(シラバス)は、応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境の分野から出題されるため、大学レベルの数学および、機械・深層学習の専門知識、プログラミング技術知識(Python)が問われます。 また、「E資格」を受験するには、いずれかのJDLA認定プログラムを受講し、受験日の「過去2年以内に講座を修了していること」が必要です。

受験の動機

現在、AIの台頭によって、既存のWebサービスが品質を強化したり、まったく別のサービスに置き換わる、という事象が起こっています。 その中で、 Web上でモノづくりをしている我々アプリケーション・エンジニアは、より付加価値の高いサービスを開発するノウハウが求められつつあります。

例として、「Googleで知りたいものを検索して探す」というこれまで当たり前のインターネットの利用体験が、「ChatGPTに質問して答えを得る」という体験に取って代わる未来も現実的に考えられるようになりました。 このようなゲームチェンジが起こるかもしれない状況において、旧来の概念や技術のみにとらわれず、新たなビジネスチャンスが訪れた際に能力を発揮できることが大切です。

理由を少し遡ると、2017年ごろ世間的にAIがブームになったころに、大学院で数理物理学を専攻していたこともあり、学んだ知識を生かせるかも知れないと考えていました。 当時は、ChatGPTや各種画像生成系サービスに代表される生成系AIは今ほど世間に認知されておらず、自動運転技術の実用化や特定産業の先進分野で実験的にAI技術が取り入れられている、程度の印象でした。

勉強を進めていく過程で実際に手元で動く深層学習モデルを作ってみて、プログラムが自動的に学習していく過程を目にし「これは、スゴイゾ!オモシロイ♪♪」と実感し、本格的に興味を持つようになりました。 タイミング良く同時期に会社から「E資格」取得メンバーに選抜され、取得に向けて講座受講費用や受験料の支援があり、体系的に知識を学び、習得したことを証明するチャンスと捉えました。

資格取得に向けた学習

受験資格を得るためにまずは、JDLA認定プログラムを受講しました。 私が受講した講座は、「E資格」シラバスの中で主に「深層学習」をカバーする内容であったため、次の書籍を補強に用いました。ご紹介しておきます。

  • 深層学習
    • GAN(敵対的生成ネットワーク)を提案したIan Goodfellowの著書。
    • 深層学習とそれに必要な応用数学、機械学習の知識について網羅的に扱われており、数学理論やモデルの数理など、厳密に把握したい際などに辞書的に使用。
  • Pythonではじめる機械学習 ―scikit-learnで学ぶ特徴量エンジニアリングと機械学習の基礎
    • 深層学習を学ぶ上で前提となる機械学習の基礎について、基礎の理論と、Pythonでの実装が学べる書籍。
  • ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
  • ゼロから作るDeep Learning 2 ―自然言語処理編
    • これらの書籍は、基礎講座と内容が重複するものであったが、理論説明がより詳細であったりサンプルプログラムの実装説明が丁寧なため、深層学習の基礎の復習に使用。
  • 詳解ディープラーニング 第2版 ~TensorFlow/Keras・PyTorchによる時系列データ処理
    • 主に自然言語処理などの時系列データを扱うRNNモデルと、GPTなどの基礎となっているAttension、Transformerなども扱う書籍。
    • TensorFlowとPyTorch両方のサンプルコードが記載されている。
  • 物体・画像認識と時系列データ処理入門 [TensorFlow2/PyTorch対応第2版]
    • 主に物体検出やGANなどのモデルの理論とフレームワークによる実装を扱う書籍。
  • 最短コースでわかる PyTorch &深層学習プログラミング
    • AI開発のフレームワークPyTorchの解説書籍。PyTorch公式のドキュメントとともに、文法学習に使用。
  • 徹底攻略 確率統計
    • 高校数学レベルは前提知識として必要で、主に大学の理数系教養課程レベル+αの確率統計の知識が得られる書籍。
    • 最尤推定法など、AIの学習アルゴリズム上重要な統計テクニックの数理を詳細に解説。
    • 忘れてしまっていた数学知識や数式展開があった場合に辞書的に使用。
  • 徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版
    • E資格試験の問題集。試験の2か月前程度から取り組み、巻末の模擬試験正答率を約100%へ。

今後の取り組み

社員のスキルアップを図る。【組織力を強く!】

「AI分野の技術をマスターする」といっても、何をどこまでやるか、何から始めるか、合理的な進め方は?といった初動で迷ってしまうことが多い印象です。 「E資格」取得を通じて、前述の通り、多くの学習を行いましたので、新入社員をはじめ、既存社員へこれらの情報を展開し、会社としての技術力の向上を図ります。 社内発表会、ハンズオンや、ハレソフトの新入社員教育研修へ取り込んだりが挙げられます。

AI分野の練度を高める【実践力を磨く!】

機械学習やデータ分析に対する深度を深めたいと考えています。 AI分野のコンペ活動、コミュニティでのトレンド把握、最新論文のチェック、ラボ開発等を通じて、実践力を身に付けていきます。

ビジネスをつくる【実践する!】

イントラネット、インターネット、オンプレミス、クラウドとシステムを取り巻く環境が発展する中、エンジニアとして、既存事業の効率化やコスト削減を目的とした事業に関わる重要な役割をになってきました。 加えて現在は、AI分野の最新技術による高付加価値化が進み、その価値創造を推進すべき要点として活用する能力が求められてきています。 既存技術や自社/他社といった区切りにこだわって変化しないのではなく、垣根を超えたコミュニケーションを図り、新たな仕組みを作り出す社会の一員として活動し続けます。

Open Badges

JDLAから合格通知があり、「E資格」のオープンバッジが発行されました。

JDLA Deep Learning for ENGINEER 2023 #2

JDLA Deep Learning for ENGINEER 2023 #2 Halesoft Yamada